規制に縛られず、改造の禁止事項もなく、目的に合わせた活用や改変が可能という新しい発想、やわらかな仕組みで、私たちの暮らしに密着した貴重な建造物を国の文化財として登録し、地域の資産として活かそうという運動が全国規模で広がっています。この運動を支えているのが平成8年に制定された「文化財登録制度」です。和田工芸ではこれまでにこの「文化財登録制度」の活用を提案し、古民家再生を事業化してきましたが、そうした古民家再生事業の中で出される質問を中心にこの制度を解き明かしていきたいと思います。
よく出る質問にはこのようなものがあります。
1.文化財登録制度ってなに?
2.なぜ登録するの?
3.これまでに登録された件数はどのくらいあるの?
4.登録すると規制がうるさいのでは?
5.どういう建造物が対象になるの?
6.登録までの手順、登録後の手続き等はどうなっているの?
7.登録されると何かいいことがあるの?
8.和田工芸の実例はあるの?
それではこのひとつひとつにお答えします。
1.文化財登録制度ってなに?
日本の住文化を支えてきた古民家や建造物が、今、私たちのまわりから消えようとしています。古くから地域に親しまれてきた民家、長い歴史を生き抜いてきた建物、再びつくることのできない建造物など、これらは次代に残していきたい貴重な文化財です。こうした文化財を守り、地域の資産として活かすためにつくられたのが「文化財登録制度」で、平成8年に制定されました。
この制度は従来の指定制度(重要なものを厳選し、許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)と違い、活用しながら、保存するという柔らかな仕組みで制定されています。特に私たちの日常生活と深くかかわってきた古民家は、再生すればまた新しい息吹を吹き込むことが出来るものが数多く残されています。古民家はまさに、「文化財登録制度」を活用するのに絶好の対象です。
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2.なぜ登録するの?
活用しながら、保存するという柔らかな仕組みで制定されたのが登録文化財の制度です。この制度の新しさは、文化財を自由に活用できるところにあります。今まで通り使ってもいいし、事業資産や観光資源として利用してもいいのです。つまり、事業展開や地域の活性化のために積極的に活用しながら、貴重な文化財をゆるやかに守っていこうというのがこの制度の本質です。全国に散在する古民家のような建造物を貴重な文化財として後世に残し、さらにはより幅広い用途に活用していこうというのがこの制度が目的とする意義なのです。
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3.これまでに登録された件数はどのくらいあるの?
制度発足以来16年が経過し、すでに8,000 件を超える建造物が登録され、現在も年間数百件の割合で増えています。
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4.登録すると規制がうるさいのでは?
登録有形文化財建造物は活用を重んずる文化財です。今まで通りに使うのもよし、事業資産や観光資源として利用してもかまいません。外観が大きく変わる場合や移築の場合などに現状変更の届出が必要となりますが、登録することで規制に強く縛られることはありません。内部を改装し、たとえばホールやレストラン、資料館などとして活用することができます。事業の展開や地域の活性化のために積極的に活用しながら、文化財としてゆるやかに守ることができ、また、修理や管理について国(文化庁)に技術的なアドバイスを求めることもできます。
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5.どういう建造物が対象になるの?
原則として建設後50 年を経過したもので、国土の歴史的景観に寄与しているもの、造形の規範になっているもの、再現することが容易でないものが対象になります。つまり、その地域で広く親しまれていたり、そこでしか見られない珍しい形などをしているものがその資格を持っています。
2011年7月1日現在、建造物の登録件数は8,331件で、具体的には以下のような多様な分野の建造物が登録されています。
役所、図書館、学校、駅舎などの公共建築
軍隊関連施設
伝統産業施設
店舗、銀行、旅館、ホテルなどの商業建築
工場などの産業関連施設
トンネル、橋梁、灯台などの交通関係建造物
ダム、水門などの近代化遺産
社寺、教会などの宗教建築
民家、泉(飲料用水、生活用水)
これらの登録物件には、現役の商店、ホテルなどとして活用しつつ保存されているもの、博物館・資料館などとして公開活用されているものが多く、建物そのものを公開するだけでなく、地域の歴史や民俗に関する資料を展示したり、アーティストや学生に貸し出したり、レストランとして活用しているものなどがあります。もちろん現代生活に合うように再生し、住まいとして活用されている民家もたくさん含まれています。
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6.登録されるまでの手順はどうなっているの?
7.登録されると何かいいことがあるの?
●保存・活用に必要な修理等の設計監理費の2分の1を国が補助
●相続財産評価額(土地を含む)を10分の3控除(国税庁通達)
●家屋の固定資産税を2分の1に減税(地方税法)
●敷地の地価税を2分の1に減税(地価税法施行令第17条第3項)
●改修などに必要な資金を日本政策投資銀行より低利で融資
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8.和田工芸の実例はあるの?
これまでに私どもで再生させた古民家の中から登録有形文化財に登録になったり、申請中の事例をいくつかご紹介します。
| <1>岸本家主屋 |
| 岸本家住宅主屋は、土蔵づくり2階建てと一部木造平屋建ての瓦葺き。日光街道の宿場町として栄えた幸手宿の醤油醸造所兼住宅として江戸時代末期に建てられたもので、外観は宿場町の面影を今も色濃く残し、屋根は左右に葺きおろした「切り妻造り」と、四方に葺きおろした「寄せ棟造り」の2つからなっています。この古民家を再生し、登録有形文化財に登録し幸手市の市街地活性化のシンボルと位置づけて活動しています。 |
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| <2>新井邸 |
| 木造2階建て、瓦葺き、建築面積163平方メートルの建物本体を揚げ家して基礎の補強、屋根瓦の葺き替えなどを行い、
室内を現代の生活にマッチするよう快適な空間として現地再生しました。平成18年3月27日に登録有形文化財に登録されました。 |
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| <3>春日部の家 |
現在登録申請中
工事着手前に登録文化財申請をしておりましたが文化庁の役人さんが異動で変わったために工事を終わらせてから申請し直せと指示され、既に工事は完成しているにもかかわらず、なぜか未だに登録されておりません。 |
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